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ショート動画人気カテゴリ ゲーム/美容/料理・グルメでYouTubeを伸ばすコツ−ショート動画市場を徹底調査−

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スマホで手軽に視聴できる「縦型短尺動画」。InstagramのリールやTikTokなどで急激に普及し、日本では2021年7月よりYouTubeでも「YouTubeショート(以下ショート動画)」のサービスが開始されました。また、2023年2月からはショート動画の収益化が始まったことで、より一層の注目を集めています。

今回はそんなショート動画の市場や変遷について解説し、人気カテゴリごとのコンテンツの特徴についても解説します。

調査には、国内最大級のYouTubeデータ分析ツール『kamui tracker(カムイトラッカー)』を活用しています。

目次

1. ショート動画の過去2年分の投稿推移
2. 成功しているショート動画の特徴
  2.1. 視聴回数上位200件の動画の調査結果
  2.2. 伸びるコンテンツ内容の傾向
   2.2.1. 様々な感情を動かす
   2.2.2. 海外の若年層をメインの視聴者層にする
   2.2.3. ドラマやアニメなど他メディアのトレンドを取り入れる
3. 人気3カテゴリにおけるショート動画の変遷と伸びるコンテンツ
  3.1. ゲーム|特定のゲームタイトル名を含む
  3.2. 美容|施術方法の解説や悩みを解決する
  3.3. 料理・グルメ|食品名を含むレシピを紹介する
4. まとめ|話題のキーワードを入れ、ノンバーバルでも楽しめるように
5. 調査概要

1. ショート動画の過去2年分の投稿推移

図1:ショート動画における投稿本数の推移(2021/7/1〜2023/5/31)
図1:ショート動画における投稿本数の推移(2021/7/1〜2023/5/31)

直近2年で、ショート動画の投稿本数は約5倍に増加しています。

ショート動画のサービスが開始された、2021年7月には月間32,300件の動画が投稿されていましたが、2023年5月には月間154,419件の動画が投稿されました。

多少の増減はあるものの、これからもショート動画全体の投稿本数は上昇していくと予想できます。

2. 成功しているショート動画の特徴

続いて、2021年7月1日から2023年6月23日の期間中に投稿されたショート動画の中で、視聴回数上位200件の動画を調査しました。

ここから、成功しているショート動画の特徴を分析し、徹底解説します。

2.1. 視聴回数上位200件の動画の調査結果

図2:視聴回数上位200件の動画のチャンネル別の割合(2021/7/1〜2023/6/23)
図2:視聴回数上位200件の動画のチャンネル別の割合(2021/7/1〜2023/6/23)

視聴回数上位200件の動画のチャンネル別の割合を見てみると、上位3チャンネル(「Sagawa/さがわ」「ISSEI/いっせい」「M2DK.マツダ家の日常」)の動画が半数以上を占め、安定した視聴回数を獲得しています。

視聴回数が取れているコンテンツは全体的に「ノンバーバル」×「コメディ系」の組み合わせが中心となっていました。この傾向は、2023年上半期に伸びた動画の特徴でもあります。

そして、TikTokで視聴回数が伸びた動画を流用していることも、共通のポイントであると言えます。「Sagawa/さがわ」「ISSEI/いっせい」などのチャンネルは定期的に、TikTokで視聴回数が多かった動画をYouTubeショート用に編集して投稿しています。

2.2. 伸びるコンテンツ内容の傾向

では、視聴回数が伸びるコンテンツには、具体的にどのような共通項があるのでしょうか?
それぞれのコンテンツの内容を分析し、要素に分けて解説していきます。

2.2.1. 様々な感情を湧かせる

ショート動画を最後まで視聴してもらうには、最初の数秒で視聴者の心をぐっと掴めるかがとても重要です。YouTubeの動画では視聴維持率が長ければ長いほど評価が高くなり、視聴回数が回りやすい傾向(※1)もあるため、インパクトを与えることが大切です。

その中でも「面白い」「可愛い・癒される」「ハラハラする」「共感できる」「突っ込みたくなる」「応援したくなる」などの、様々な感情を湧かせるようなコンテンツを投稿することで、視聴者への刺激を与えることがおすすめです。

しかし、過度な内容で視聴者を傷つけたり、不快な思いをさせないように、表現には細心の注意を払いましょう。

※1 参照:マーケドリブン「YouTubeの視聴者維持率を40%まであげる7つの秘策をご紹介!」より

  • ISSEI/いっせい
    ISSEI funny video 😂😂😂 KARATE 黒帯天使 | ISSEI Best TikTok February 2022 Part 55 #shorts

人気YouTuber「じゅりあの黒帯天使ちゃんねる」とのコラボ動画で、視聴回数は3億回を超えています。お手本となる空手技と、本人がチャレンジする様子をテンポ良く交互に見せることで、ついつい最後まで見たくなる構成になっています。また、失敗シーンや一生懸命に取り組むシーンが視聴者の感情を動かし、視聴回数だけでなく高評価やポジティブなコメントにも繋がっています。

2.2.2. 海外の若年層をメインの視聴者層にする

視聴回数を伸ばすコツとして「海外の若年層も含めた視聴者を集める」ことが挙げられます。動画内の字幕やチャンネルプロフィールを英語表記にしたり、日英で併記したりすることで海外の視聴者にも受け入れてもらいやすくなります。

また、英語表記にするだけでなくノンバーバル(非言語)コンテンツを配信していくことも、視聴回数を伸ばすコツの一つです。ノンバーバルにすることによって、表記している言語関係なく全ての視聴者に受け入れてもらいやすくなります。ノンバーバルコンテンツとは、言語を使わずに視覚だけで楽しむことのできるコンテンツのことを指します。

  • M2DK.マツダ家の日常
    No edit!!🕶 matsudake funny video😂😂😂|M2DK Best TikTok December 2022 Part110 #shorts #TikTok #m2dk 

海外で流行したチャレンジ系の企画に挑戦する企画です。どのチャレンジも実際にはなかなか成功しませんが、ついつい観てしまう構成が視聴回数を伸ばしているようです。

2.2.3. ドラマやアニメなど他メディアのトレンドを取り入れる

テレビや映画など他のメディアの流行を、YouTubeに取り入れることはかなり効果的です。実際に2022年は『SPY×FAMILY』2023年は『【推しの子】』がYouTube上で数多く取り上げられ、話題となりました。

話題になっているトレンドのキーワードは検索ボリュームが急増するため、そういったキーワードをタイトルに入れ、コンテンツに盛り込むと視聴回数を伸ばしやすいという傾向はありそうです。

  • あそびわーるど
    ロイドが目玉ドッキリ‼️アーニャ泣いちゃう⁉️Halloween🎃 #shorts 

人気アニメ『SPY×FAMILY』に登場するキャラクターが、もしドッキリを仕掛けられたらという設定で創作された動画です。最後の意外な展開に言及するコメントや、登場人物の可愛さに触れるコメントが多く集まっています。

3. 人気3カテゴリにおけるショート動画の変遷と伸びるコンテンツ

続いて、エビリーのYouTube分析ツール『kamui tracker』で独自調査した「ゲーム」「美容」「料理・グルメ」の、人気3カテゴリのショート動画市場における特徴を、さまざまな視点でまとめました。

3.1. ゲーム|話題のゲームタイトル名を入れて伸ばす

図3:ゲームカテゴリのショート動画投稿本数と視聴回数(2021/07/01~2023/06/23)
図3:ゲームカテゴリのショート動画投稿本数と視聴回数(2021/07/01~2023/06/23)
図4:ゲームカテゴリのショート動画のタイトルのテキストマイニング(2023年4月)
図4:ゲームカテゴリのショート動画のタイトルのテキストマイニング(2023年4月)

視聴回数増加時期:2022年10月、2022年12月、2023月4月
投稿本数増加時期:2021年11月、2023年4月

ゲームカテゴリにおいては、特に2023年4月の投稿本数にやや大きな増加が見られました。2023年4月に投稿された動画をテキストマイニングすると、「フォートナイト」、「マイクラ」、「スプラトゥーン3」など大手ゲームメーカーのタイトルや、オンラインゲームに関連するキーワードが多数抽出されました。同月には「マインクラフト レジェンズ」が発売されており、これが4月の投稿本数を引き上げた要因の一つとも考えられます。

調査期間(2021年7月から2023年6月)中、広告運用をしている可能性の高いコンテンツを除いて、一番視聴回数が多かった動画は「Ohio Final Boss vs Warden in Minecraft🤯😂 #shorts」という、人気ゲームマインクラフトの中で作られたキャラクター同士がボクシングを行う構成の動画でした。本企画のように、伸びやすいゲーム関連のショート動画コンテンツの特徴として、人気アニメや映画のパロディや、ゲーム内のアイテムで作成されたドット絵など、特殊なプレイ技法により新たな作品が生まれるコンテンツが人気な傾向が見られました。

  • ぶろう
    Minecraft That’s not Wednesday Addams… #shorts

本動画は、ネットフリックスで話題になった「ウェンズデー」のドラマと「Skibidi Bop Yes Yes Yes」という音楽に合わせてふくよかな男性が大きなお腹を揺らしながら踊る、というアメリカを中心に流行しているコンテンツを組み合わせて、マインクラフトでその世界観を表現したものです。

これらも、既に流行しているものを組み合わせてコンテンツに落とし込んでいるところが視聴回数を伸ばした要因だと考えられます。

3.2. 美容|施術方法の解説や悩みを解決するハウツーコンテンツで伸ばす

図5:美容カテゴリのショート動画投稿本数と視聴回数(2021/07/01~2023/06/23)
図5:美容カテゴリのショート動画投稿本数と視聴回数(2021/07/01~2023/06/23)
図6:美容カテゴリのショート動画のタイトルのテキストマイニング(2022年6月)
図6:美容カテゴリのショート動画のタイトルのテキストマイニング(2022年6月)

視聴回数増加時期:2021年11月、2022年6月、9月、2023年3月
投稿本数増加時期:2021年 9月、2022年5~6月、2023年5月

美容カテゴリでは特に、2022年6月は投稿本数、視聴回数ともに増加が見られました。2022年6月に投稿された動画リストを確認すると、タイトルに一番多く出現しているワードが「二重」であり、他にも「整形」「クマ」「埋没」などのキーワードが多く見られたことから、二重整形に関する投稿が多く、需要も高かったと考えらます。これは二重整形が日本で身近になり、受け入れられるようになってきたからだと言えます。

多く投稿された動画は目に関するコンテンツでしたが、調査期間(2021年7月から2023年6月)中で一番視聴回数が多かった動画は「マスク外した姿が可愛すぎると話題に、、、!?#shorts #美容師 #エクステ」で、美容院でエクステをつける様子を配信した企画です。合計1,834万回以上再生されており、コメント欄でもマスクを外した際のお客さんの可愛さに注目が集まり視聴者の興味を引いたことが視聴回数を伸ばす要因となったでしょう。

さらに、マスク着用の緩和の流れ(話題は2023年2月ごろをピークに、3月より実施)と連動するようにマスクに関するYouTube動画の投稿も増える傾向がありました。上記で紹介した動画も、2023年2〜4月に一時的に視聴回数が盛り返す現象が起きていました。このマスク緩和の流れも「マスク」に関連する動画が注目されたポイントになったと考えられます。

図7:マスク関連のショート動画の投稿本数と視聴回数推移(2021年8月~2023年6月)
図7:マスク関連のショート動画の投稿本数と視聴回数推移(2021年8月~2023年6月)
  • Kahoko
    【推しの子】【Oshi No Ko】星野アイ コスプレ💄

2.2.3. でもご紹介したように、人気のアニメと組み合わせてメイク動画のコンテンツを作り視聴回数を伸ばしている事例です。また本動画はノンバーバルで楽しめる動画となっている点も、2ヶ月で600万回以上の視聴回数を獲得している理由だと言えます。

3.3. 料理・グルメ|特殊な食材の活用とバズり企画をショート版にして伸ばす

図8:料理・グルメカテゴリのショート動画投稿本数と視聴回数(2021/07/01~2023/06/23)
図8:料理・グルメカテゴリのショート動画投稿本数と視聴回数(2021/07/01~2023/06/23)
図9:料理・グルメカテゴリのショート動画のタイトルのテキストマイニング(2023年1月)
図9:料理・グルメカテゴリのショート動画のタイトルのテキストマイニング(2023年1月)

視聴回数増加時期:2023年1月
投稿本数増加時期:2023年1月~2023年3月

料理・グルメカテゴリでの過去2年間ショート動画の投稿・視聴回数の推移を見ると、2022年2月〜2023年3月まで、継続的にショートの投稿数が増加しています。

また、2023年1月に単発で異様に視聴回数が伸びている理由は「Food Shock フードショック」チャンネルの動画が多く投稿・多く再生されたことが原因と考えられます。

このチャンネルでは、すでに5,000万回以上視聴されてバズった飴細工の企画をショート動画として再編集した動画や、クレープ職人などの職人技動画が視聴回数を伸ばしていました。

また「Giant Octopus Eggs(巨大タコの卵)」など、普段はなかなか目にすることのない面白い食材を紹介・食べてみるという企画が視聴回数を獲得している傾向が見られました。他にも英語タイトルを使い、海外の視聴者にもアプローチをしたことがより伸びた原因だと考えられます。

料理・グルメカテゴリでは興味を引きそうな特殊な食材や、すでにバズった企画のショート版、英語を活用し海外視聴者を巻き込んだ戦略で、YouTubeの動画を伸ばしていることがわかりました。

ゲームに限らず、料理・グルメカテゴリもノンバーバルコンテンツを作りやすいカテゴリなので、工夫次第で視聴回数を伸ばせる可能性が大きいかもしれません。

  • Food Shock フードショック
    【可愛いは正義】290万回再生されたキュートな動物クレープ #shorts

職人技のクレープ作りに「芸術的」「可愛すぎて食べられない」などの絶賛するコメントが多く寄せられています。思わず完成が気になって見入ってしまうような制作工程は、ショート動画を最後まで視聴させるポイントになるでしょう。

  • Bayashi TV
    🥑 Chicken Katsu Sandwich 🧡 #shorts

さまざまな食材を、意外な組み合わせで調理する動画が人気のYouTuberです。美味しそうな料理が出来上がっていく様子を目で楽しみつつ、耳ではリズミカルな調理の音や食べる瞬間の音を楽しめる動画が多いです。動画を見て心地よいと感じる人が多いことが、人気の秘訣なのかもしれません。

4. まとめ|話題のキーワードを入れ、ノンバーバルでも楽しめるように

ショート動画市場の全体として見ると、伸びるコンテンツは次のような傾向がありました。

  • 一度視聴回数が多く回った動画を再編集し、複数回投稿する
  • 海外の視聴者を意識した、英語を用いたタイトルやノンバーバルな内容のコンテンツにする
  • 様々な感情を湧かせるような刺激的なコンテンツにする
  • ドラマやアニメなど他メディアのトレンドを取り入れる

また人気の3カテゴリにおけるショート動画の伸びるコンテンツはそれぞれ次のような傾向があることがわかりました。

  • ゲーム:人気や話題のゲームタイトル名をキーワードとして入れる
  • 美容:施術方法の解説や悩みを解決するハウツーコンテンツ
  • 料理・グルメ:特殊な食材の活用やバズり企画をショート版に再編集する

カテゴリごとにおいても、ノンバーバルや世間のトレンドを組み合わせることで、さらに伸ばしやすいコンテンツにしている人気ショートYouTuberは多いようです。

ショート動画全体の伸びる共通項を踏まえながら、カテゴリごとでも工夫していくことでよりYouTubeを伸ばすことができるでしょう。

5. 調査概要

▼調査ツール
YouTubeデータ分析ツール『kamui tracker』

▼調査期間
・ショート動画全体推移:2021年7月1日〜2023年5月31日
・それ以外:2021年7月1日〜2023年6月23日

▼調査方法

  • ショート動画の変遷期整理(過去2年分)
    • 過去2年分の投稿本数・視聴回数の推移を調査
    • 視聴回数上位100~200位のショート動画の傾向(チャンネルとコンテンツ)
  • カテゴリごとのショートの特徴調査:「ゲーム」「美容」「食品」
    • 3つのカテゴリの比較:投稿本数・視聴回数のボリュームを比較
      • ゲーム
      • 美容
      • 食品
  • 視聴回数や投稿本数が伸びた月に投稿された各カテゴリの全動画タイトルをテキストマイニング(https://textmining.userlocal.jp/

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本記事が皆様のYouTubeチャンネルの効果的な運用やYouTube施策において、少しでもお役に立てる記事となっていれば幸いです。

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